自分で食事を食べる事を自力摂取とも言います。寝たきりで離床できずベッド上で食事を自力摂取されている方も多いと思います。ここではベッド上で姿勢を変えると自力摂取にどの様な影響があるのかを確認したいと思います。後、ベッド上で自力摂取しやすい簡単な姿勢や環境作りについて、少しだけですが、まとめてみました。
上体の角度の違いで食べやすさが変わる
自力摂取する時の上体の角度の違いを、便宜上60~90度を上体を起こした姿勢、60度以下を上体を倒した姿勢に分けて説明します。上体を起こせば起こすほど食事との距離は近づきます。すると、上肢(肩関節)と食器の距離も近づくので、食べ物をすくったり口に運びやすくなります。また視点も高くなり、上から見下ろす様な感じになるので食器の中身も見えやすくなります。

逆に、上体を倒せば倒すほど今度は上肢と食器の距離が遠くなり、食べ物をすくったり口に運ぶのも大変になります。さらに視点が低く食器の中身も見えにくくなります。言い換えると自分で食べるには「見えにくい」「食べにくい」環境になります。自力摂取は目と手の協調運動です。なので、「見えやすい」「食べやすい」環境を作りが必要ですよね。嚥下機能に問題なければなるべく上体を起こす事をお勧めします。
ベッド上での自力摂取 | 姿勢作り
自力摂取でギャッジアップしていった際に、角度を上げていくと、下の図の様に頭の上に枕が乗っかって摂取している人を見かけた事はありませんか?病院や施設、意識して見てみると時々お見かけします。頭の上に枕を乗せて食べるのは食べにくいかも知れませんね。その方の姿勢(円背)や座り方によってはギャッジアップの角度を上げると頭の上に枕を乗せる様な感じになっちゃいます。

では対策として、ある程度ギャッジアップさせたら枕を外してマットレスの下に枕や座布団を入れます。再びギャッジアップしていき丁度良さそうな所で止めて上体の角度を調整して下さい。体幹、頭頚部を自然な形で起こす事が出来ます。枕も外しているので頭の上に乗っかる事もなくなります。これで上肢の操作もしやすくなりますね。
60度以下での自力摂取 | 環境づくり
ギャッジアップさせて自力摂取させたいけど、上体を起こせない方もいると思います。

対策としては、手前にテーブルを置きます。手前に置くと上肢(肩関節)の距離が近づくので食べやすく食器の中身も見えやすくなります。ただテーブルを高くしすぎると肩や腕を必要以上に持ち上げて食べる事になるので疲労して食事量に影響するかもしれません。食器の中身も見えにくくなるので注意が必要です。他には、トレーの下に濡れタオルを畳んで敷くとトレーに角度がつき食器の中身は見えやすくなります。お椀を持って食べれる方は自分で持てる場所にセッティングしましょう。
作業療法士の視点でまとめる!ベッド上での自力摂取を支える環境調整
寝たきりの方にとって、ベッド上での食事姿勢は誤嚥リスクと自力摂取の成否に直結します。
上体を60度以上起こすと、食器との距離が近づき、「見えやすい・食べやすい」環境が作られ、目と手の協調運動が容易になります。
体幹が起こせない方や円背の方には、マットレス下に枕を入れて体幹から起こす工夫が有効です。これにより、頭頸部が不自然に屈曲せず、安定した姿勢を確保できます。
また、リクライニング角度が浅い場合は、テーブルを手前に置く、トレーの下にタオルを敷いて角度をつけるなど、食事との距離を詰めたり、食器の中身を見やすくしたりする環境調整が、疲労を軽減し、安全な経口摂取を支えます。
【追伸】
この様なOTならではの生活環境調整のノウハウは、ご家族や介護職が最も求めている情報です。これらの「小さな工夫」をWebで発信することで、貴事業所の現場力とホスピタリティをアピールし、依頼獲得に繋げられます。
医療・福祉事業者の皆様へ
この記事のように、患者様(利用者様)の「本当に知りたい情報」を届けるホームページが、これからの時代は必要です。
私は作業療法士現役20年の知見を活かし、あなたの事業所の「価値」が伝わるホームページ制作をお手伝いしています。ホームページ制作の事で気になる事があれば、お気軽にご相談下さい。
